Monday, 20 January 2014

Ballet* Le Corsaire (English National Ballet)

ENBの期待の新作、「海賊」を見に行ってきました。



海賊のコンラッドが、トルコ総督のパシャに売られそうになっているギリシャ娘のメドーラに恋をして、
助けたはいいものの、結局仲間の裏切りにあって、メドーラはパシャの下へ。
そしてコンラッドはメドーラを助けにパシャの元へ向かう…という冒険活劇?

冒険活劇といっても、やはり男女のロマンティックな踊りがあり、
女性コールドバレエの華やかな群舞あり、
プラス、「海賊」らしい男性のダイナミックで迫力あるダンスも見所。

「海賊」は白鳥の湖やジゼルのようにドラマに重きがあるバレエではないので、
数年前までは全幕で上演されることは少なかったのですが、
1999年にアメリカン・バレエ・シアターがエンタテイメント色を強くして上演してから、
他のバレエ団でもちらほら上演され始めたような気がします。

ロンドンでもなかなか見ることのできないバレエの一つでした。

それが、元ロイヤルのタマラが監督になってなにかと話題のENBがついに上演。

ENBはタマラに続いて、人気ダンサーのアリーナがやってきたり、
若手のムンタギロフ君の人気もうなぎのぼりで、最近勢いづいています。

そんなわけでいろんな意味で期待大の新作の感想は、キャスト表のあとに。





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Cast

MEDORA Alina Cojocaru
CONRAD Vadim Muntagirov
ALI Junor Souza

GURUNARE Erina Takahashi
LANKENDEM Dmitri Gruzdyev

BIRBANTO Yonah Acosta

LEAD VILLAGER Nancy Osbaldeston

PASHA Michael Coleman

ODALISQUES Shiori Kase, Alison McWhinney, Laurretta Summerscales


ステージングにABTの海賊も手がけたアナ=マリー・ホームズをむかえているので、
大体の流れはABTと同じ。
余計なキャラクターダンスなどはそぎ落としてすっきり、そしてエンタテイメント色が強くなっている作品。
そのエンタテイメントな作品にふさわしい豪華キャスト!!
なんといっても、今回の目的は「海賊」を見るのともう一つ、アリーナ&ムンタギロフ組を見ること。
私はアリーナにことごと怪我などで振られていたので、すごく心配していたのですが、
今回初めて、彼女を全幕で見ることができました!

1幕から順を追っていくと、まず最初の見所、オダリスクのシーン。
3にんとも素晴らしかったけど、特にいい!と思ったのは、最初のカセさん。
早いバリエーションだけれど遅れることなく音楽にぴたっとあった動きはみていてとても気持ちよかった。
セカンドのマクウィニーさんも、ポーズを見せるところをすべてきっちりと見せて見事。
サードのサマースケイルズさん。サードはABTのビデオでのマーフィーのトリプル連続が印象に強いけれど、サマースケイルズさんもダブルとミックスさせて回る回る!
 正直言って、数年前に見たプティ・ガラでちょっとがっかりしていたので、今回のオダリスクのソリストたちの面子ぞろいには正直感心しました。
ここで期待がぐんぐんアップ。

そして、私の好きな、グルナーラとランケンデムのパ・ド・ドゥ。
チケットを買うときはメドーラとコンラッドとアリの3人しか発表されていなかったので、
今回の絵里奈さんのグルナーラはうれしい驚き。
そしてその通り、絵里奈さんの踊りはこの夜で一番うれしいサプライズになった。
かんっぺきな足捌きと音楽性、そして小さな体いっぱいでの表現。
数年前のプティ・ガラでは、彼女のアルルの女だけが印象に残っていたけれど、
このグルナーラを見て私は一気にファンになってしまいました。
ロイヤルとENBを比べると、どうしても知名度的にロイヤルのほうが上と見てしまうんだけれど、
こんなに素晴らしいダンサーが、ここにいるなんて。
片足ポアントでのポーズも気持ちいいくらいに音楽とぴったり合って止って、
となりのバレエ学生と思われる男の子たちが「ホワアアア」といちいちため息をつくくらい。(笑)
主役の二人も素晴らしかったんだけど、この日はとにかく絵里奈さんに釘付けになってしまった舞台でした。

そしてアリーナの登場。
コミカルでかわいいアリーナはメドーラにぴったり。
一幕のパシャとの踊りは、パシャもかわいい動きをするので(笑)とてもほほえましかった。
特に180度パンシェの美しいこと。

ビルバントのヨナ・アコスタは、ロイヤルのカルロスの甥っ子。
今回はとても力強いビルバントを見せてくれ、客席を沸かせていました。
たぶん写真で見る限りはアリもやっていたようなので、ぜひみてみたい。

そして2幕、客席が大注目のパ・ド・トロワ。(なぜかプログラムではパ・ダ・クシオンになっていたけど。)
アリのジュノー・ソウザは長くて柔軟な手足がアリのダイナミックな動きにぴったり。
パンッと足が開くジュッテもよかったけれど、 なんといっても回転のコントロールにため息。
ぎゅるぎゅる回ったかと思ったらゆっくり速度を落としてぴたっと止る。
これまたとなりの男の子たちが大興奮。(笑)

アリーナのメドーラはとにかくキュート。
一挙一動がとにかくかわいくて、美しくて。
特に新鮮だったのは何てことない細かいパドブレが、アリーナがやるとほんとに可憐に見える。
こういうなんでもない仕草や初歩的なことを素晴らしく見せさせるのがスターダンサーなんだろうな。

そして今日一番楽しみにしていたヴァディム君。
ヴァディム君を舞台で見たのは今日が初めてなのだけど、
彼のことは、彼が入団一年目に白鳥の湖の王子に抜擢されたドキュメンタリーを見て知った。
超期待の新人とされながらも、振付家やコーチらにぼろくそに言われている様子が映されていたので、
なんだかもう親心が芽生えちゃって。(笑)
それがいまやENBのメインプリンシパル、最近では日本の新国立劇場のシーズンゲストダンサーに。
今まであまりENBのダンサーが日本にお呼ばれすることは少なかったのでは?
まさに飛ぶ鳥落とす勢いの注目ダンサー。
それだけにものすごく期待していました。
そして、ヴァディム君はその期待に倍返しでこたえてくれた!!
過去にヌレエフが強烈な印象を残したありがメインといってもいいこのパ・ド・トロワでは、
コンラッドのヴァリエーションの曲はあまり耳に残らないし、メドーラとの絡みも少ない。
全幕でもどっちかというと踊りまくるというよりはサポート役。
でも見終わったあとに、ああ、主役はやっぱりコンラッド!という強烈な印象を残すくらい、
彼はスター性を持ったダンサー。
まず舞台に立ってスポットライトを浴びるだけで、彼が主役、と誰もが納得するそのたたずまい。
長い手足はもちろん、何気ない仕草もとても美しい。
今回はブロンドの髪を伸ばしてみせ、(地毛だよね?)海賊らしくさらにワイルドさが増していい感じ。
男性の長髪はあまり好きではないけど、彼のこのスタイルはコンラッドらしくて◎。
そしてこのぱっとしないヴァリエーションでは、少ない見せ場で全力を発揮するかのように爆発。
特にジャンプは高く高く、その中でも空中でえびぞって見せるかのようなジャンプでは、
そのつど客席から感嘆の声が。

アリーナとの組み合わせは花形通しだけれど、ヴァディム君がかなり背が高いので、
ピルエットのサポートが大変そうだったことをのぞけば、素晴らしいパートナーシップでした。
特に2幕の寝室のパ・ド・ドゥ。
こんなパ・ド・ドゥあったっけ? と思われるほど、新鮮でした。
ダイナミックなリフトがたくさんのパ・ド・ドゥはテクニック重視にならず、とてもロマンティックで、
パ・ド・トロワよりもこの舞台で一番印象に残りました。

衣装は、華やかでとってもきれい。私はABTのよりも断然こちらのほうが好み。
特に1幕の町娘のスカートは、カラフルでエキゾチック、自分で普段に着たいくらい。
アリーナのブルーの衣装も鮮やかできれいでした。
でもなんといっても、パシャの衣装。(おそらく)スワロフスキーのクリスタルがぎらっぎら。
客席からでもまぶしいくらいだったので、舞台で間近で見たらすごいのでは。
3幕の花園の場面、みんな白が基調だったので、シンプルに見えました。私はもっとカラフルなほうが好みですが…。
その後すぐに出てくるハーレムの女性たちは、ベリーダンスの衣装のような、
しゃらしゃらとなる金の飾りが腰などにつけられていて、見た目もきれいだったし、
踊るたびにしゃらしゃらなるのでエキゾチックな感じでよかった。

最初のアンティークな感じの舞台幕も好きだったけれど、
全体的に背景の舞台美術もとてもステキでした。
背景が印象に残った舞台って、考えてみたら結構少ない。

海賊は、バレエ芸術というよりは、エンタテイメント性を重視した作品だと私は思います。
なので何も考えずに踊りを楽しむことが出来て、ミュージカルを見たような楽しさ。
それだけに、ダンサーの質が問われる作品ですが、(ダンサーがしょぼいとたぶん耐えられない作品)
正直言って、プティ作品でかなり私の評価を落としていたENB、見る前はかなり不安でした。
けれど、見たあと、完全に私の評価は逆転、むしろ倍アップ!
本当に、一番驚いたのはENBのソリストダンサーたちのダンス・クオリティー。
プティ前もうまいダンサーとそうでないダンサーの差が激しいな、と思うことはあったのだけれど、
今回はどのダンサーも安心して、むしろ興奮してみることが出来ました。
こんなに盛り上がったコリセウムを見るのは初めて。(笑)

今回はアッパーサークル(3階席)の最前列だったのですが、
コリセウムのいいところは、ROHのように奥に長くないので、バルコニー席でも十分に舞台が見えること。
私の席からでもダンサーたちの表情がよく見える。
そして安い! (私の席で40ポンド)
なのになのに、金曜の夜、最強メンバーの新作舞台というにもかかわらず、
客席が埋まっていないというのは悲しすぎる…!(私と同じ列にも空席が!)
この舞台が評判を呼んで、もっとお客さんが来てくれる事を願います。

地域性が強いENB、レパートリーも家族で見られるベーシックなクラシカル作品が多いですが、
やはり私としては、プティ作品をまたやって欲しいなあ…。
タマラさんもアリーナさんもプティはあんまり踊ったことがないだろうから、ぜひぜひ。
そして、一緒に行ったバレエ友達とも話していたのですが、
海賊を機にもっとロンドンで見られないバレエをやって欲しい。
次は、ライモンダの全幕あたりでお願いします!



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